求職者の情報収集の手段が求人サイトからSNSへと広がり、とくに若年層との接点づくりとしてSNS採用に取り組む企業が増えています。一方で、「投稿しても応募につながらない」「炎上や運用負担が心配」といった悩みを抱える担当者も少なくありません。本記事では、SNS採用を始める前に知っておきたいデメリットと、失敗を防ぐための具体的な対策を解説します。
SNS採用のデメリット
SNS採用は、求人票だけでは伝わりにくい職場の雰囲気を発信できる一方で、始める前に知っておきたいデメリットもあります。ここでは、SNS採用の主なデメリットを4つ解説します。成果が出るまでに時間がかかる
SNS採用の大きなデメリットの一つが、成果が出るまでに時間がかかりやすいことです。アカウントを開設して投稿を始めたからといって、すぐに多くの求職者に見てもらえるとは限りません。まずは企業の存在を知ってもらい、投稿を継続して見てもらえる状態をつくる必要があります。フォロワーを増やしたり、投稿を通じて企業への関心を高めたりするには、ある程度の期間が必要になるでしょう。
そのため、短期間で応募者を集めたい場合は、自然投稿の拡散を待つだけでなく、SNS広告の併用を検討しましょう。SNS広告は勤務地周辺のエリアや年齢層を指定して配信できるため、フォロワーが少ない立ち上げ期でも、採用ターゲットに投稿を届けられます。また、求人広告や人材紹介サービスなど、すぐに求人情報を届けやすい採用手法と組み合わせれば、短期的な応募獲得と中長期的な認知拡大を両立しやすくなります。
再生数が伸びても応募・採用につながらない場合がある
SNS採用でよくある失敗が、再生数やフォロワー数は伸びたのに応募が増えないケースです。SNSで興味を持った求職者の多くは、その場ですぐに応募するわけではありません。プロフィールから採用ページへの導線が分かりにくかったり、応募前の疑問を解消する手段がなかったりすると、せっかく生まれた関心が応募に結びつきません。
また、楽しそうな雰囲気だけを強調した発信は、応募が増えても入社後のギャップによる早期離職を招くおそれがあります。SNS採用では、見られることよりも、応募・採用につながることを目的に設計する必要があります。
炎上や情報管理のリスクがある
不適切な投稿による炎上
SNSは情報を広く拡散できる一方、投稿内容によっては炎上につながるリスクがあります。たとえば、不適切な表現や誤った情報、配慮に欠ける内容などを発信すると、企業に対する印象が悪化する可能性があります。個人情報・プライバシーの扱い
社員や顧客に関する情報を扱う場合には、個人情報やプライバシーへの配慮も必要です。一度SNS上で公開された情報は、削除したとしても拡散されてしまう場合があります。そのため、投稿する内容は慎重に確認することが重要です。具体的な対策は、後述の「運用ルールと継続できる体制をつくる」で紹介します。
担当者の業務負担が増える可能性がある
SNS採用では、単に投稿するだけではなく、投稿内容の企画や撮影、画像・動画の編集、文章作成、投稿後の分析など、さまざまな業務が発生します。専任の担当者がいない企業の場合、採用担当者や広報担当者が既存業務と並行してSNSを運用するケースもあります。その結果、投稿を続けること自体が負担となり、更新頻度が下がってしまうことも少なくありません。
さらに、応募が集まり始めると、応募者への連絡や面接日程の調整といった業務も増えます。少人数で採用を担当している企業ほど、SNS運用と応募者対応の両立が課題になりやすいでしょう。
デメリットへの対策(SNS採用を成功させるポイント)
SNS採用のデメリットは、事前に対策を講じることで多くを防げます。ここでは、前述のデメリットに対応する形で、SNS採用を成功させるためのポイントを紹介します。採用ターゲットを明確にする
▽デメリット「応募・採用につながらない」への対策
SNS採用を始める際は、まず「どのような人材を採用したいのか」を明確にすることが重要です。新卒採用なのか中途採用なのか、求める年齢層や職種、経験、スキルなどによって、適したSNSや発信する情報は変わってきます。ターゲットが曖昧なまま運用を始めると、誰に向けた投稿なのか分かりにくくなり、発信内容にも一貫性がなくなってしまいます。採用したい人材の特徴を整理し、必要に応じてペルソナを設定しましょう。
あわせて、自社の魅力だけでなく、仕事の大変な部分や「合う人・合わない人」まで整理しておくと、入社後のギャップを防ぐ発信につながります。
SNS広告を併用して届けたい層に早く届ける
▽デメリット「成果が出るまでに時間がかかる」への対策
SNSの自然投稿だけでは、投稿が拡散される地域や年齢層をコントロールできません。勤務地周辺のエリアや年齢層を指定できるSNS広告を併用すれば、反応のよい投稿を採用ターゲットに集中的に届けられ、立ち上げ期から応募獲得を狙えます。とくに全国に拠点を持たない企業や、特定の地域で採用したい企業にとって有効な方法です。SNS広告の特徴は、SNS広告や公式LINEを活用した採用手法※1でも紹介しています。
公式LINEなどの応募導線を設計する
▽デメリット「応募・採用につながらない」への対策
SNSのプロフィール欄や動画の最後で公式LINEへの登録を案内し、すぐに応募しない求職者とも接点を保てるようにしましょう。公式LINEに登録してもらえれば、後日の情報配信や個別の連絡で関係を維持できます。さらに公式LINEでは、応募前の質問対応や面接前のリマインド、面接後のフォローまで行えるため、応募から採用までの歩留まりの改善にもつながります。
運用ルールと継続できる体制をつくる
▽デメリット「炎上・情報管理のリスク」「担当者の負担」への対策
炎上リスクを抑えながら運用を継続するために、次の項目をあらかじめ決めておきましょう。・発信内容と表現の方向性
社員紹介・仕事風景など発信するテーマと、画像・動画のトーン
・発信しないテーマ
政治・宗教に関する内容、過度な個人情報など
・投稿頻度
社内のリソースに合わせて、無理なく続けられる頻度
・役割分担
企画・撮影・編集の担当者と、投稿前に確認する担当者(複数人でのチェックが理想)
ルールをガイドラインとして文書にまとめておけば、担当者が変わっても同じ基準で運用できます。
社内だけで企画・撮影・編集・応募者対応まで続けるのが難しい場合は、これらをまとめて任せられるSNS採用代行を活用するのも一つの方法です。依頼先を検討する際は、SNS採用代行会社の選び方※2を参考にしてください。
応募数・採用数を軸に効果測定と改善を繰り返す
▽すべてのデメリットに共通する対策
SNS採用は、投稿して終わりではありません。効果測定では、応募数・面接設定数・採用数を主な指標にします。フォロワー数や閲覧数、プロフィールから採用ページへの遷移数、公式LINEの登録数は、応募に至るまでの途中指標として確認しましょう。途中指標と応募数をあわせて見ることで、「投稿は見られているが採用ページに進まない」「LINE登録はあるが応募に至らない」など、どこに課題があるのかが分かります。反応がよかった投稿は内容や形式を参考にし、課題のある段階は原因を考えて改善しましょう。
デメリットを踏まえて知っておきたいSNS採用のメリット
デメリットがある一方で、SNS採用には求人媒体にはないメリットもあります。近年は、求人サイトや企業ホームページだけでなく、SNSで企業の雰囲気や社員の様子を確認してから応募を検討する求職者が増えています。とくに若年層は、検索エンジンだけでなくSNSも情報収集の手段として利用しているため、SNSでの発信は若手との接点づくりに欠かせなくなっています。ここでは、SNS採用の主なメリットを紹介します。潜在的な求職者にもアプローチできる
SNS採用では、現在積極的に仕事を探している人だけでなく、将来的に転職や就職を考えている潜在層にもアプローチできます。日常的なSNS利用のなかで企業の投稿を見てもらうことで、これまで自社を知らなかった人との接点をつくることが可能です。すぐに応募につながらなくても、継続的な情報発信によって企業への関心を高められれば、将来的な応募につながる可能性があります。
社風や社員の雰囲気を伝え、ミスマッチを防げる
SNSでは写真や動画を使って、社員の日常や社内イベント、実際に働いている様子などを紹介できます。求人票では文章だけで説明しにくい職場の雰囲気も、SNSなら視覚的に伝えやすくなります。求職者が応募前に企業について理解する機会が増えることで、「思っていた会社と違った」といった入社後のミスマッチを防ぐことにもつながりやすいです。
採用コストを抑えやすい
SNSは基本的に無料でアカウントを開設できるため、求人広告や採用媒体への掲載費用をかけずに情報発信を始められます。もちろん、投稿内容の企画や撮影、編集などには時間や人員が必要です。しかし、一度作成した投稿はアカウント上に蓄積されるため、継続して企業の情報を発信できる資産になります。
企業の認知度やブランディングにつながる
SNSは採用活動だけでなく、企業そのものを知ってもらうための広報手段としても活用できます。企業理念や事業内容、仕事への取り組み、社員の活動などを継続的に発信することで、求職者だけでなく顧客や取引先にも企業を知ってもらうきっかけになるでしょう。実際にSNS採用で成果を上げている企業の取り組みは、SNS採用の成功事例※3で媒体別に紹介しています。
※3:SNS採用の成功事例
まとめ
SNS採用には、成果が出るまでに時間がかかる、再生数が伸びても応募につながらない場合がある、炎上や情報管理のリスクがある、担当者の負担が増えるといったデメリットがあります。しかし、採用ターゲットを明確にしたうえで、SNS広告の併用で届けたい層に早く情報を届け、公式LINEなどで応募導線を整え、応募数・採用数を軸に改善を続ければ、多くのデメリットは対策できます。
自社だけで対応するのが難しい場合は、広告運用や応募者対応まで任せられるSNS採用代行の活用も検討しましょう。各社の対応範囲はおすすめのSNS採用代行5選で比較できます。
